INTERVIEW ご愛用者インタビュー

KOUJI TANIKAWA 谷川浩司
プロ棋士・十七世名人

30年以上、対局中にメガネのことを気にしたことがありません。
それほど違和感がないのだと思います。

かける人それぞれに完全フィットするメガネづくりから、勝負の世界をサポートするアイメトリクス。愛用者の中には、現役の棋士もおられます。2022年に十七世名人を襲位した谷川浩司さんもその一人。幼少期からメガネを愛用し、将棋界の頂点に立った谷川さんに、「メガネと勝負」「メガネとプライベート」について伺いました。

マイナス要因がまったくないところが、圧倒的な長所。

PROFILE

谷川浩司(たにがわ・こうじ)
1962年4月、兵庫県神戸市生まれ。幼少期より将棋を指し始め、11歳で奨励会に入り、14歳でプロデビュー。1983年、史上最年少の21歳で名人位を獲得する。以来、竜王4期、名人5期など、合計27期のタイトルを保持。JTプロ公式戦は史上最多の優勝6回、準優勝5回をマークした。2022年5月23日、永世名人(十七世名人)を襲位。2012年から2017年まで、日本将棋連盟会長を務めた。
  • 裸眼視力(左)0.1未満(右)0.2
  • 好きな駒:角行
    「縦横に動く飛と比べ、斜めに動く角は使い方が難しいが、そこに妙味を感じる」
谷川さんはいつからメガネをかけておられますか。また当時のメガネ選びの基準や思い出のエピソードをお願いします。
小学校2年生の頃から見え方に違和感があり、3年生の時にメガネをかけ始めました。もう約半世紀も前のことなので、細かいことは覚えていませんが、神戸市内のデパートで作ったと記憶しています。目が悪くなった理由は、おそらく本を読みすぎたことです。とにかく将棋が強くなりたくて、定跡書、詰将棋、実戦集などはたくさん読みました。それに加えて鉄道も好きでしたね。電車に乗るのはもちろんですが、時刻表がとにかく大好きで。当時、母から細かい字ばかり読み過ぎると目が悪くなるよと、よく注意されました。
しばらくは神戸のデパートのメガネをかけておられたのでしょうか。どのようにしてアイメトリクスのメガネをかけるようになりましたか。
20代半ばの頃に高校時代の恩師が、「同窓の先輩にとても良いメガネを作る人がいる」と教えてくれたことがきっかけです。その恩師と神戸のセンター街にあるメガネ屋さんを訪問しました。そこで勧めていただいたのが、アイメトリクスのメガネでした。
持ってみると、とにかく軽い。メガネってこんなにも軽いのかと驚きました。あと、フィット感が良くて、すぐに体の一部ではないかというほど馴染んでくれました。それまで、少し目が疲れる気がする、長くかけていると鼻のところが重たい、耳の後ろが痛くなるなど、少しは不満があったのですが、メガネってそういうものだと思っていて。でも、アイメトリクスのメガネにしてからは、そのような不満がすべてなくなりました。ですから、ここが素晴らしいというよりは、マイナス要因が一切ないところこそ圧倒的な長所なのだと思います。

対局中は、将棋盤ばかりを見ているわけではありません。だからこそメガネの品質が大事。

数々の名勝負を繰り広げてきた谷川さんですが、対局する上でメガネは大切なものですか?
当然、将棋盤をクリアに見るために必要です。でも、それ以上にマイナス要因がないというのは、私にとってとても大切なことです。棋士にはいろんな人がいるので、何を気にするかは人それぞれですが、私は小道具が整然と置かれていないと気になるタイプ。座った時に扇子は前、時計やハンカチ、お茶類は横というふうに位置を決めているんですよ。きっと、盤を見たときに気になることをなくしているのでしょうね。メガネのレンズは事前に拭きますし、畳に髪の毛が落ちていたら拾って捨てることもあります。まったくそういうことを気にしない人がいるのも、棋士のおもしろいところです。
対局中にメガネのフレームを触っておられるお姿を時々、拝見します。
家族や友人によると、私はけっこう対局中にメガネを触っているみたいです。でも、自覚はありません(笑)。おそらくみなさんは、対局中の棋士が将棋盤をずっと睨みつけているとお考えではないでしょうか。私の場合ですが、そのように見えても実はあまり盤面を見ていないことがあります。現在の局面を判断する時こそしっかりと見ていますが、ずっと先の手まで読んでいる時は視覚にあまり意識がなく、思考がメインになっています。このときに、フレームを触っているのかもしれませんね。
他の棋士には、目を閉じて考える人や、遠くを見て考える人もいます。私も含めて対局中の棋士には、大きな動きがありません。だからこそ、微細な違和感は受け取ってしまいやすいのだと思います。下を向いて考えることもありますが、そういう時にズレないのは、私にとってとてもうれしいことです。
不安を極力取り除くことが、自らの能力を発揮できることにつながるのですね。
驚かれるかもしれませんが、私は必ず予備のメガネを持って対局場に向かいます。もちろん、将棋を指していてメガネが壊れるなんて聞いたこともありません。でも、壊れたらどうしようと考えること自体が心の乱れにつながります。メガネをもうひとつ持つだけで、マイナス要因をひとつ排除できるなら、そうしようと。対局が始まるまでに、できるだけニュートラルな状態を作る努力は常に行っています。
複数メガネをお持ちとのことですが、どのように使い分けておられますか?
私はメインのメガネばかりを使うタイプです。メガネ屋さんにも、新しい形ができたよと教えていただくのですが、やはり使い慣れたものが良くて。でも、心のどこかで装いに合わせてメガネを変えるオシャレには興味があるんですよ。せっかく、スーツも和服も着る職業なのですから、これからは目的に合わせてメガネを変えられるようにしたいです。

メガネは、私が「人」として輝くために支えてくれている「もの」のひとつ。

勝負の指針にしている言葉や座右の銘はありますか?
色紙を依頼された時に書く言葉が、座右の銘なのかもしれませんね。若い頃は、「飛翔」と書いていました。先輩から、「将棋盤は81マスしかないけれども、その限られた盤面の中で大きく駒が飛び交うような将棋を指しなさい」と教えられたことがきっかけです。以来、ダイナミックでファンを魅了する将棋を指すことを目標としていました。
今は、「守破離」と書くことが多いです。基本をしっかりと守って体得し、やがてはそれを打ち破る。最終的には自分の世界を築き上げるという武道や茶道の教えです。人生をかけて体現していくことが今の目標です。
守破離を実現する上で大切なことは何でしょうか?
囲碁の世界には「囲碁は100年をつなぐ」という言葉があります。幼い時に50歳上の方に学び、自らが歳を重ねた時には50歳下の方と対局ができる。そのようにして囲碁の世界が受け継がれていくという意味ですが、将棋の世界も同じだと考えています。私自身も、39歳年上の大山15世名人と対局を重ね、今は40歳離れた藤井竜王とも対局をしています。このような「つなぐ」ストーリーを各棋士が自覚して実践していくことで、未来は拓けていくのだと思います。ただ、最近の若手は強くて(笑)
将棋という道を選んで良かったですか?
私が若い頃、将棋は間違いなく「勝負」だけのものでした。それから少しずつ指す前の研究が大切になり、紙の棋譜で対戦相手との戦いを事前にシミュレーションするようになりました。そして平成には棋譜がすべてデータ化され、令和はAIを使った研究の時代になりました。棋士になって46年、この3つの時代を現役で過ごせたことは、大変でもあったのですが、非常にやりがいに満ちあふれていました。幸せな棋士人生だと思います。
また、先ほどの「100年をつなぐ」という話とも共通しますが、世代を超えて真剣勝負ができるということは、他のジャンルではなかなか見られないこと。スポーツ選手なら30代での引退もありますし、一般社会でも半世紀離れた年齢の方同士で会話をすることは難しいかもしれません。でも、頭脳スポーツはたとえ年齢が大きく違っても、真剣に相手の思考に思いを馳せ、真剣勝負が将棋盤の上で展開されます。これは、とてもおもしろいことだと思います。
最後に読者にメッセージをお願いします。
将棋は難しいゲームかもしれません。しかし近年、AIの発達により、現在の形勢や今後の展開が可視化されるようになってきました。将棋のネット中継ではAIの判断が欠かせなくなり、スポーツ観戦に近い臨場感を体験できます。AIは何百億という可能性を計算できる一方で、人間はせいぜい何千手が限界というのは確かなこと。しかし、人間が直感で可能性を絞り込んで先を読んでいくという作業は、魂が輝く行為だと思います。私の場合、その直感を支えてくれているひとつの要素がメガネなのです。
着用モデル
スーツ姿 SIEM / SI04 / Gunmetal
和服姿 X -エクス- / C1B / Bordeaux

谷川様愛用モデル

NEWX エクス
初代からの系譜を受け継いだ
ミニマルデザイン。
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NEWSIEM シム
機能美を追い求めて辿り着いた、
シンプルなチタン製リムレスデザイン。
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